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○「白バラの祈り ゾフィー・ショル最後の日々」

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白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々-


90年に東ドイツで発見された尋問記録を元に、反ナチスを掲げて抵抗運動を行った学生グループ「白バラ」のメンバー、ゾフィー・ショルが、大学構内でビラを撒いて逮捕されてからわずか4日で処刑されるまでを描いた作品。


ゲシュタポというのは、とかく極悪非道であることないこと難癖を付けて罪をでっち上げた末に処刑してしまうというイメージがありますが、この作品では実際にゲシュタポがショルの周辺を調べ上げ、「白バラ」とその反ナチ活動の状況証拠を突きつけて追い詰めていく過程が克明に描かれています。
人民法廷は罪を確定させるための出来レース、手続き上のパフォーマンスに過ぎませんが、捜査機関としてのゲシュタポはそれなりに役目を果たしていたという見方もできるでしょう。

いずれにせよ、ショルはそれらに毅然と立ち向かい、一時はゲシュタポも焦りを見せますが、兄ハンスの自供によってとうとう罪を認めることになります。


戦敗国である上に、ナチスが行った悪逆非道が明るみに出たこともあり、戦後のドイツ人のナチスアレルギーは相当激しいものがあります。
時にはその激しいナチス批判が、戦争責任の客観的観測を妨げるほどでもあります。
この激しさ、憎悪は日本人の戦犯に対するそれを遥かに上回ります。

あるいはこうしたドイツ人自身の手による抵抗運動に、背負った罪の重さからの救いを見出す部分もあるのかもしれません。


この作品は、事件を冷静かつ客観的に描いた作品には違いありませんが、一方でこの作品が本国の映画祭で高い評価を受ける背景にはそういった事実もあることは踏まえておくべきでしょう。


現にこの作品では、ショルやその一味の思想的な背景には一切触れられていません。

処刑が不当であることはゆるぎない事実ですが、果たして彼らは純粋な正義の使者たりえたのか。

冷酷なようですが、全てを鵜呑みにする気分にはとてもなれませんでした…。


白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々 - allcinemaONLINE


時 間 : 121分
製作国 : ドイツ
公 開 : 劇場公開 (キネティック)
初公開 : 2006/01/28
監 督 : マルク・ローテムント
脚 本 : フレート・ブライナースドーファー
出 演 : ユリア・イェンチ ゾフィー・ショル
     アレクサンダー・ヘルト ロベルト・モーア尋問官
     ファビアン・ヒンリヒス ハンス・ショル
     ヨハンナ・ガストドロフ エルゼ・ゲーベル
     アンドレ・ヘンニック ローラント・フライスラー裁判官
     フロリアン・シュテッター クリストフ・プローブスト
     ヨハネス・シューム アレクサンダー・シュモレル
     マキシミリアン・ブリュックナー ヴィリ・グラーフ
     リリー・ユング ギゼラ・シャーテリング
     ユーグ・フーベ ロベルト・ショル
     ペトラ・ケリング マグダレーナ・ショル
     フランツ・シュターバー ヴェルナー・ショル